SAISON STUDIOS 藤原駿さん・愛夏さんのインタビュー
2025/03/27
- キャッスルタウン
2024年夏頃に名古屋から香川県丸亀市に移住してきた設計士とデザイナーの夫婦。
兼ねてから瀬戸内海近辺での移住を検討していた二人が丸亀を選んだ理由とは。
その半生とこれからの未来など、聞いてみた。
この度はお時間いただきありがとうございます。お二人の自己紹介をまずお願いしてもよろし いでしょうか。
駿さん:藤原 駿(ふじわら しゅん)です。設計士として、空間デザインやリノベーションを専門に活動しています。
愛夏さん:藤原 愛夏(ふじわら あいか)です。グラフィックデザインやインテリアデザインを中心にデザイナーとして活動しています。
ありがとうございます。お二人が建築に興味を持ったきっかけを教えてください。

愛夏さん:小学校5年生の時、直島の美術館に行った際に「建築ってすごい。」と思って、そこから建築やデザインに興味を持つことになりました。そういったきっかけもあって、家が新築になる工事のタイミングでは、頻繁に大工さんに会いに行って、家が造られていく様子を眺めながら大工さんに将来なりたいなあと思ったりもしていました。
駿さん:就職の一つの選択肢として建築を選びました。直接的なきっかけや好きがつながって建築に関わったというわけではありませんでした。ただ、よくマンションの間取り図のチラシを眺めたり集めたりするのが好きで、そこが少しだけ原点にあるのかもしれません。どちらかというと、大学に入って、建築に触れ出してからが本格的に建築の面白さに惹かれていったような気がします。
なるほど。二人とも全然違ったきっかけですね。大学ではどういったことを学んでいたのですか。
愛夏さん:二人とも高知の同じ大学で建築を学び、専攻はランドスケープを専攻しました。大学で学ぶ中で、新しいものを作るよりも「今あるものをどう活かすか」といった方に興味を持つようになりました。そう考え出すと、建物だけでなく、人の動きや街全体などを考えるようなランドスケープについて学ぶことが自分達にとっていいんじゃないかなと思い、そういった選択をすることとなりました。
今の活動やお二人の価値観の原点につながっているような気がしました。そして就職を考え始めたという感じですかね。

駿さん:そうですね。ランドスケープを学び、その道の仕事につくことも考えたのですが、自分達の思う「デザイン」とは離れている気がして、ランドスケープを主とした職業を選択することはありませんでした。
愛夏さん:就職といった選択でランドスケープに関わろうとすると、橋や大きな建造物を作るなど、スケールがとても大きいものが大半でした。自分達は常に一人の人のサイズ感で、もっと生活のそばにあるようなものをつくることができる仕事をしたかったので、将来の進路について色々と調べたり、考えたりしていました。
駿さん:自分は大学卒業後、大学院へと進みました。ただ、研究を進める中で、自分の研究に行き詰まりを感じていました。加えて、その研究を発表し、評価されていくということも、自分の中ではあまりフィットしないなと感じていました。そんな中、友人から教えてもらったリノベーションの会社に内定が決まり、会社にも相談した上で、大学院を途中で休学し、その会社で働くこととなりました。その後、会社の方に比重を置きたいと思って、退学したという流れになります。
愛夏さん:自分はその間、大学卒業してから一旦フリーな期間が欲しいなと思って(笑)駿くんが大学院2年生の時に社会人1年目の年だったんですけど、その間は自由に過ごしていました。
一般的な社会人になっていくルートとは少し違った形だったんですね。そこからはお互いどういったキャリアを経ていったのでしょうか。
駿さん:その入社した会社では、営業の仕事に配属されました。その会社のキャリアプランでは、営業を経て、最終的にリノベーションを中心とした空間デザインや設計に携わることができるというようなものでした。最初はその将来に向けて頑張っていたのですが、2年目も営業の配属が続いたときに、自分はもっと早く空間デザインや設計に関わりたいと思いました。そんな感じで燻っているタイミングで、当時の営業の先輩に紹介してもらった会社の社長とご飯する機会があり、そこでその会社への転職を決意しました。ご飯を食べた後、夜スケボーをしながら転職が決まりました(笑)
転職先では、リノベーションを中心に、空間デザインや設計をたくさん経験させていただきました。
愛夏さん:私は、フリー期間を終えてからはデザインの仕事につきたいと思い、小さなデザイン会社に入社しました。ただ、そこが自分と会う会社ではないなと思って、1年で辞めました。辞めた後は、前の会社にいた上司と一緒に、あるデザイン会社の名古屋支部を立ち上げました。
ありがとうございます。そこで四国から名古屋へと移り住んでいったんですね。そこから瀬戸内付近への移住はどう考えていったのでしょうか。

駿さん:その会社に入社してから30歳までには独立をしたいと思っていたので、そこからライフプランや「自分達はどんな色なのか」をしっかり考えるようになりました。大学時代から、最終的には瀬戸内海近辺で生活したいなとフワッとは思っていたのもあり、瀬戸内海付近を意識しながら移住や独立を考えていました。実際に、移住先をリアルに検討するために、さまざまなエリアを瀬戸内に限らず巡って、自分達の価値観ややりたいことができそうかなど、いろんな面でマッチする場所がないかを常に探していました。やりたいこととしては、常に「生活」に関わることをしたいと考えていたので、衣食住に関わる何かを常に考えていました。その中のひとつに、富山の宿にはかなり影響を受けました。「まちやど」という仕組みで、街全体を宿のように捉えて、街と関わる動きにとても興味を持ちました。
瀬戸内を巡りながら移住先を絞っていったんですね。そんな中、香川県丸亀市を選んだ理由を教えてください。
駿さん:丸亀市に移住したきっかけは、香川の知り合いに馬場商事を紹介されて、その際に、面白い物件や街の人をアテンドしてくれたということと、自分達の理想に近い物件があったということです。その理由の中でも大きかったのは、「まだ完成していない街」の雰囲気があるところです。すでにコンテンツや場が多いまちは、どうしてもチャレンジの幅が狭まってしまったり、自分達の色を出しにくかったりと障壁があるように思います。ただ、丸亀にはそれをあまり感じませんでした。
なるほど。そうだったんですね。ここから実現してみたいことなどがあれば教えてください。
愛夏さん:今は、名古屋のつながりで仕事が香川以外ですることも多いのですが、これからは香川や四国に関わる仕事をどんどんできればいいなと思っています。その一つにまずは自分達の拠点を完成させたいなと思っています。3階建ての建物を「apartment mecu」と名付けているのですが、その建物を自分達の手でリノベーションしながら、人が集ったり、宿として使用できたりいろんな仕掛けのある複合施設的な何かにできればいいなと考えています。

ありがとうございます。丸亀に移住して半年ほど経ったかと思いますが、実際暮らしてみて、丸亀のいいなと感じたことを教えてください。
駿さん:人と人がぐっと近づける場所や空気感があることはいいことだなと思います。街歩きしていたら、「この辺を案内しようか」と町内会のおじさんが案内してくれたりとか、ババノバのような人が繋がる場所がある。丸亀のイメージは、教育や子どもを中心においていて、自分達のような世代や価値観の人に向けられた取り組みが大きくはないような空気感を感じつつも、でも実際には、教育だけでなく、街を面白くしようと思う人々が集う場所や空気感があることがとてもいいなと思います。
後は、建築を学んでいたということもあり、MIMOCAがあることや丸亀市にアートやデザインに関して場やゆかりのある人々がいるのも、住む中でとてもいいなと感じます。
住む中で発見した魅力もあったんですね。では、今後の丸亀に期待することを伺っても良いでしょうか。
駿さん:丸亀市は街の掲げ方として、「教育」に焦点を当てていて、実際に高校生までの学外活動やサポートなど様々な面でとてもいい公共サービスを提供しているように感じてるし、公共だけでなく、民間も積極的に関わっている印象があります。ただ、そういった高校生が高校を卒業してから地元とどう関わっていくか、どう接点を持っていくかといったものが見えていないような気がします。
愛夏さん:アートやデザインにゆかりのある街、県だからこそ、出ていく県ではなく、むしろ若者が帰りたくなる、他からくるような街になっていく可能性があるんじゃないかなと思います。
駿さん:ここまで、近くにクリエィティブな場があるんだから、勉強だけでない多様な生き方をそういった高校生に知ってもらって、香川や丸亀でクリエィティブな生き方をするような人が増えて欲しいなと思います。
藤原 駿
SAISON STUDIOS 設計デザイナー。
広島県出身、1994年生まれ。高知県の大学を卒業後、愛知県の設計デザイン事務所へ就職。修行を積み、2024年に香川県丸亀市に移住、夫婦でデザイン事務所SAISON STUDIOS(セゾンスタ ジオズ)を開業。主に店舗や住宅、古民家リノベーションの設計デザインを専門としている。現在 は築70年の元布団屋をaprtment mecuと名づけ、自ら設計デザインしながら絶賛改装中。
SAISON STUDIOS:https://www.instagram.com/saison_studios/
apartment menu:https://www.instagram.com/mecu_apartment
丸亀空想倶楽部:https://marugame-marutasu.jp/group/%20town-planning/entry-16070.html
藤原 愛夏
SAISON STUDIOS グラフィック・ウェブデザイナー兼インテリアコーディネーター。
徳島県出身、1995年生まれ。酒屋の娘。
夫・駿と同じく高知県の大学を卒業後、愛知県のデザイン事務所へ入社。カフェやヘアサロンなどのロゴや販促物、店舗のインテリアデザインを得意としている。
