焼き鳥 三太郎(Grilled Chicken SANTARO)

2020/03/29

  • ポートタウン

「新旧が共存できる街に」

「焼き鳥 三太郎」店長 山口雅宏さんインタビュー

丸亀駅から徒歩3分。好立地の場所に佇む一軒の居酒屋「やき鳥 三太郎」
週末、たくさんの人で賑わうこの店の店主・山口さん。25歳の時に地元・丸亀に戻り、当時ご両親がされていた「やき鳥 三太郎」に携わるようになりました。
丸亀のみなと街で飲食店を営むようになって18年の山口さんに、お店の話やこの街への思いを伺いました。


少しずつ変化する街に対応できる店でいたい

まず、開業のきっかけについて教えてください。

私は2代目なんですよ。初代は私の父と母です。元々は川西町でやっていて、そのあとこちらに移転してきました。
開業してからは34年くらいですが、僕がここで両親と一緒にするようになったのは17~18年前です。

それまではどんなお仕事をされていましたか?

大阪で5年くらい板前をしていました。ちょうど他のお店に変わろうかという時に、父が体を壊してしまって。それが香川に帰ってくるきっかけになりました。

丸亀に戻ってこられた時の街の印象はどんな感じでしたか?

まだ昔ながらのお店もありましたよ。寿司屋さんが2件、丸亀駅の下にはゲームセンター、あとは雑貨屋さんや本屋さんもありましたが、全部閉店しましたね。私は地元も丸亀、25~30年位前の賑やかだった頃を知っているので「どんどん無くなっていくもんやなぁ」と。一時はダメになるのかなと思った時もありましたが、「恐るべきさぬきうどん」という本が出た頃から、うどん目的で県外から来られるお客様が増えました。最近では海外のお客様も来られるようになりましたよね。少しずつですが、印象が良くなってきています。

お店の方もお客様の層が変わってきているということでしょうか?

そうですね。多様になりました。海外のお客様がいらっしゃるようになったので、ちょうど今、ビールメーカーさんにお願いして、海外のお客様向けのメニューを作ってもらっているところです。それが実際に口に合うかどうかは分からないんですけどね。
でも、海外に向けての発信や、来られた時の対応の準備は必要かなと感じていますね。とは言え、地元のお客様もいらっしゃいますし、足を運んでくれる方は様々なので、広く対応できるように、これから整えていきたいなと思っているところです。

お客様が教えてくれた「三太郎らしさ」を徹底して守る

店名は「やき鳥 三太郎」ですが、お魚などのメニューも充実していますね。板前の経験からですか?

そうですね。私が一緒にするようになってからは、魚も取り入れてやっています。ただ魚の仕入れに関しては、日によって大きく左右されますね。ここ数年気候変動の影響で、今まで採れていたものが採れなくなってきているんです。なるべく天然物を使いたいので、程度がいいものとなると少なくて。なので、魚が品薄の時は鳥でカバーできるようにしています。元々はやき鳥屋ですから。
私の場合は、両親が既に基盤を作ってくれていたので、その分提供する料理に専念出来たことは大きいかなと、感謝しています。実際にイチから・・・・・・ゼロからですよね、となると、経営するお金の方を優先してしまうので、板前をやっていたからといって、魚に手をつけられたかなというと、疑問はありますね。その分の時間を両親から頂いたという感覚はあります。

とは言え、18年続けるのは簡単なことではないかと思います。実際にご自身が切り盛りするようになって一番ご苦労されたことは何ですか?

自分が作りたい料理と、お客様が求めている料理が違うということですかね。板前さんでずっといると、素材にこだわり、器にもこだわって……となりがちで。あと、当時は変わった料理が作りたいという気持ちもありました。私が始めた頃は、第一次創作料理が流行っていた時代なんですよね。それで、大きな器に小ぶりに盛って、ソースにこだわって・・・・・・みたいなことをやってみましたが、ロスばっかりで全然ダメでした。
三太郎に来られるお客様が求めているのはそこではないんです。うちで出す料理は、いろんな素材を組み合わせた総合料理としての満点ではなくて、素材として良い物でないといけないと思っています。なので、今はシンプルにこだわるようになりました。

シンプルな料理を提供するために、日頃心がけていることはどんなことですか?

シンプル故に、鮮度にこだわらないといけないのと、油をすごくきれいに使わないといけません。なので、その感覚に慣れるまでは仕入れや油の扱いに、かなり神経を使っていましたね。油をこまめに変えたり、骨付き鳥の脂を100%のものにしたり。フライヤーの手入れや掃除、まな板の除菌は基本的な事ですが、毎日徹底してやるようにしています。
他には、焼き鳥は生のモノを手打ち(手で串に刺すもの)にするだとか。その方が美味しいと思いますし、業者をかますとその分高くなるので。
オーソドックスですが、安くて美味しい物が提供できるように、店としてできる努力は出来る限りするようにしていますね。

継続することの難しさ。仲間がいたから今がある

この辺りで同じく事業をされている方との交流などはありますか?

同じように自営業をしている、私を含む4人ですかね。みんな真面目な家庭持ちです(笑)。もちろん街にはいろんなタイプの人がいますが、結果的に同じ環境にある人との交流が多くなりました。
家庭にストレスを持ち帰るのはどうかなと思うので、帰宅前に1件だけ立ち寄って、悩みを共有したり、笑ったり、気を遣わずに話をしてリフレッシュしてから帰宅するみたいな感じですかね。
昔は若かったので、ライバル同士、良い意味で戦友でしたが、今となっては私たち自身もお店も互いに年を重ね、良い関係になりました。もうみんな健康面も気にしないといけない年齢になってきたので、可能な範囲で街に貢献しながら、各々のお店を長く続けることが目標です。

山口さんご自身が子どもの頃からすると、これまで長くこの街の変遷を見てこられたと思います。これから街はどのようになっていくといいなと思いますか?

20~30代の若い経営者の方が、新しいモノをどんどん取り入れられる街になっていくと良いなと思います。それが、続けられるといいなと思いますね。若い方がこの街で新しくお店を始めることで、これまでここに足を運ばなかったような人たちが、ここに来るようになるといいなと。この辺りは駅もホテルも近いですし利便性はいいですから。
一方で、私たち世代やお年寄りの方は、私たちのお店のような、既存の馴染みの店がありますからね。新旧共存って言うんでしょうか、そんな街になるといいです。

もちろん、今も若い経営者さんはいると思うんですが、なかなかイチから始めて続けるというのは、難しいというか、旨みがないのかもしれないなと感じます。
飲食の世界の話になりますが、私たちの世代は、料理人が育って店を構えるという考えを持つ人が多いですが、今の世代には、先に店を構えてから・・・・・・という考えを持つ人もいるようです。ただ、私たちのような飲食店はモノが出ないと質が下がってしまうので。お店を回すお金がなくなると、提供したいものが提供できなくなってしまいますからね。そうすると続けることが難しくなってくる。だから先に腕を磨くという考えがあるんですが、必ずしもそうではないようで。
それでも、そういう中で若い経営者さんたちが、共に切磋琢磨すれば、自然と育っていく部分もあると思うので、お店を継続していくこともできるでしょうし、それで街がまた賑やかになったら嬉しいなと思いますね。

山口さんがお話する姿は、実直で、仕事のこだわりに対する妥協がない印象、良い意味で「職人気質」という言葉がとてもよく嵌りました。丁寧に手入れされたコンベック(オーブン)で焼かれた骨付き鳥はとても美味しかったです!これからも健康第一で長くお店続けて欲しいです!ありがとうございました。